今回は私の尊敬する方の一人、小林義崇先生が監訳された「眼が不自由な犬との暮らし方」についてご紹介します。
小林先生との出会いは、以前参加した眼科セミナーの講師を務めていらっしゃったことがきっかけでした。
私がセミナーへ参加した理由は、飼い主さんとのある出来事から。
「白内障で視力の低下していく愛犬の側で、飼い主さんが不安を感じているとき、看護師としてどう声をかけてあげるべきだったか・・」
その答えを見つけるヒントを得るためでした。
セミナーへ参加して以来私は、その答えが1つではないと気が付きました。
診察が出来る身ではないため、せめて自分なりの言葉や接し方で、愛犬の失明と向き合う飼い主さんのサポートが出来ればとの想いがより一層高まり、今まで以上に犬の眼科疾患に興味を持ち、また視力を失った愛犬との向き合い方についても調べていきました。
その当時、私が発売を心待ちにしていた書籍が「眼が不自由な犬との暮らし方」。
ここには眼科疾患の詳細から遊びや日々の接し方など幅広く書かれています。
中でも印象的だった内容が、飼い主が愛犬の視点から書いた「眼が見えないことが良いトップ10」という10項目の内容。
例えば、「ぼくの飼い主が床に散らばった洋服やガラクタをきちんと片付けるようになった」など。
飼い主さんが向き合えるようになるまで時間は必要だと思います。
しかし、その時間は決して悲しみだけではない。私は多くの飼い主さんが、今までと同じような笑顔を愛犬に向けて行くことが出来ればと望んでいます。
この10項目は、そんな現実と向き合う飼い主さんの心を揺するものだと感じました。
そして、この中に書かれている視覚に関する様々な事柄は、愛犬の失明と向き合う飼い主さんだけでなく、それをサポートする専門家の方々にもぜひ読んでほしい内容となっています。
最後に小林先生の言葉で書かれている「眼が不自由になる前に、眼が不自由にならないことについても考える」こと。
病気によっては失明を防ぐことが出来る可能性も高く、加齢に伴い発症率の上がる白内障も「仕方がない」ではなく、予防や手術といった方法があります。
飼い主さんの選択肢も増えている現代の動物医療において、私も一人の専門家として何が出来るのか、考えていく必要性を重く受け止めました。
<追伸>
まだ正確な治療法が確立されていない病気もあります。その1つが「突発性後天性網膜変性症」です。現在も研究中ではありますが、著書の中では英文をそのまま訳し、書かれています。ご理解の程お願い致します。